「想像はるかに超えてた」海外記者が新幹線で大興奮 驚きのポイントとは?

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 日本の新幹線の速さと快適さが、改めて海外の注目を集めている。イギリスではリシ・スナク首相が10月4日、イギリス版高速鉄道「HS2」の未着工区間の計画中止を発表した。南部ロンドンと北部マンチェスター間を結ぶはずだった計画は、以前からささやかれていた通り、ほぼ中間点のバーミンガム以北が破棄される。これに対し、日本では快適で定時性の高い新幹線が国土を広くカバーしているとして、イギリスなど海外からうらやむ声が上がっている。

◆「想像をはるかに超えていた」イギリスやアメリカの記者が感動
 テレグラフ紙(9月29日)では訪日経験のあるトム・ヘインズ記者が、日本の新幹線の乗車体験を「時速200マイルで地上を疾走するのは、何よりも奇妙なことだ」と振り返っている。景色は残像を残しながら後ろへ飛び去り、まるで飛行機に乗っているかのように耳が詰まる体験に驚いたという。

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 インサイダー誌(7月30日)では旅行担当のモニカ・ハンプシャー記者が、「私は世界中の鉄道を旅してきたが、日本の新幹線は私の想像をはるかに超えていた」と語る。

東京・京都間を「ひかり」で旅した彼女は、コロラド州の山々の間を疾走したロッキーマウンテニア鉄道よりも、シドニーを出発した列車が森の中へ溶け込んでいった時よりも、「東京と京都を結ぶ新幹線に初めて乗ったときの興奮は、何にも代えがたいものだった」と熱弁する。京都を訪れた事実にも興奮したが、そこへ至る新幹線の旅そのものも、甲乙つけ難い体験だったという。

◆豪紙は星4.5 「普通車が少しも普通ではない」
 普通車でも通常の列車よりはるかに快適な旅ができる点で、日本の新幹線は海外の人々の胸を高鳴らせているようだ。オーストラリアではシドニー在住の旅行ライターであるベン・グラウンドウォーター氏が、シドニー・モーニング・ヘラルド紙(8月16日、以下SMH)にて、日本での体験を綴っている。ゲレンデひしめく妙高高原を目指し、北陸新幹線「はくたか」に飛び乗った。東京から上越妙高の白銀世界まで、わずか2時間2分だ。

 北陸新幹線にはグランクラス、グリーン車、普通車の3つがあるが、グラウンドウォーター氏が乗車したのは普通車だ。だが氏は、「世界の基準からすると、少しも普通クラスではない」と快適性にうなり、5段階評価のレビュー記事で星4.5をつけている。

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 「日本の新幹線に乗らない手はない。特に、長野や新潟の雪に覆われた山々を疾走する新幹線は最高だ。景色は壮観で、車両は暖かく快適、そして食事は一流だ」との評価だ。氏は東京駅で牛丼と和牛の炒め物、漬物、そして冷えたサッポロビールをチョイスし、車内での食事タイムを満喫したという。

 一方、インサイダー誌の記者は、新幹線では食事がなによりの楽しみの一つ、と日本人の同僚にアドバイスされたのを受け、東京駅で卵焼きがたっぷり入った海苔巻きとスナックを購入。こちらも有意義な時間を楽しんだようだ。

◆速く、快適で、安い新幹線
 イギリスの鉄道事情に比べると、料金面も魅力だという。テレグラフ紙は、日本の新幹線は京都から広島までの335キロを1時間半で移動でき、料金は1万1740円だと紹介している。一方、週末にロンドンからバーミンガムにいる家族に会おうと帰省する場合、わずか163キロを2時間弱かけて移動しなくてはならず、料金も新幹線より高額な95ポンド(約1万8000円)だ。

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 安いだけではない。日本の新幹線は、細部のさりげない心配りで海外から訪れる記者の目を奪っている。インサイダー誌は、備えつけの、テーブル、フック、荷物の収納スペースなどを細かく紹介し、さらに障害者用トイレについては「これらのトイレは、私が今まで見たどの電車、飛行機、バスのトイレよりもはるかに広かった」と述べている。

 座席に戻って車窓の風景を楽しみながら、「電車に乗っているのではなく、ほとんど飛行機に乗っているような気分」を楽しんだようだ。

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◆清潔で時間に正確……日本の勤労意欲あってこそ
 こうした記事のコメント欄には、実際に日本を訪れ乗車したことのある読者からも、多くの反響が寄せられている。新幹線の乗車そのものが素晴らしい体験だとの声が目立つ。SHMの記事に対し、読者からは次のようなコメントが寄せられた。

「日本の新幹線は世界最高の鉄道網であり、それはサービス、清潔さ、時間の正確さなど、基本的なことをすべて完璧に満たしているからだ」

「日本は魅力的な国だ。山が多く、友好的で文化的にユニークだ。そして、時速300キロ以上の新幹線での旅は、それ自体が体験だ!」

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 テレグラフ紙の読者からは、日本の勤労意欲が堅実な輸送システムを支えているとの声が出ている。

「日本人は正直かつ勤勉で、知的な面で集中力があるからだろうか?」

「新幹線は、1日の仕事をいかにやり過ごすかが第一の目的であるような、労働組合に所属する仕事嫌いのおバカさんではなく、やってやろうという気概のある働き者たちに支えられている」

◆イギリスでは嘆きの声「かつては鉄道技術でリードしていたのに」
 HS2計画を大幅縮小したイギリスからは、マーク・ハーパー運輸相が日本の新幹線を視察に訪れ、実際に乗車している。日本時間7月1日にX(ツイッター)で、「私は日本で、高速鉄道が地域社会を結びつけ、経済を成長させるという恩恵をもたらすことを目の当たりにしました」と述べ、イギリスでもHS2の建設に全力を尽くしているとアピールした。

 だが、ロンドン・マンチェスター間にとどまるHS2計画に、イギリスの世論は冷たいようだ。あるユーザーは「この中途半端なプロジェクトは恥ずべきものになるでしょう。日本の高速鉄道網は東京止まりではないですよね?」と反論した。

 テレグラフ紙のコメント欄には、イギリス鉄道網への嘆きが溢れる。

「HS2がどれほど長く高価なものであったか、信じることができない。しかも、まだ半分しか完成していないんだ!」

「かつてイギリスは鉄道技術で世界をリードしていたが、今や我々の鉄道サービスとネットワークは途上国のようだ」

HS2向け高速鉄道車両のイメージ|Hitachi Rail

 日本とは事情が異なるとする援護の声も聞かれる。

「日本はずっと広い国だ。予算も多い。私たちは電車で遠くまで行く必要もない。でも、今よりもっと良くなるはずだ」

 豊かな文化と歴史を誇るイギリスだが、高速鉄道に関しては日本をうらやむ声が絶えないようだ。

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