アメリカで禁じられている15の食品 日本では人気高級料理の食材も

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自国では普通に売られているのに、他国では発売禁止というアイテムは多いもの。その理由はざまざまだが、なかにはなぜ禁止されているのか首をひねりたくなるものもある。今回は、アメリカでは持ち込み・販売・製造のいずれか、または全部が禁止されている食品のうち、15アイテムをピックアップ。旅行や留学の際にうっかり持ち込んで空港の関税で止められないようにチェックしたい。
1. 馬肉

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厳密にはアメリカでは馬肉を食べることは違法ではないが、馬を食用に屠殺することが違法とされているので、馬肉を食する機会はほぼ皆無。馬肉は「食のタブー」と見られている。カウボーイの文化が根付き、馬とともに開拓の歴史を作り上げたアメリカ人には、馬を食べることはペットを食べるような感覚なのだろう。ちなみに、馬肉の最大市場を持つのは中国。日本では馬肉は桜肉とも呼ばれ、一般家庭の食卓に並ぶ機会はあまりないものの飲食店ではメニューに並ぶこともある。
2. ふぐ

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ふぐも食べることは禁止されていないが、免許を持つ一部の業者以外は取り扱い禁止の食材なのでアメリカで口にすることが困難。その理由は簡単に予想がつくだろう。ふぐは、体内に中枢神経系の猛毒を持ち、その毒素は青酸カリよりも致死率が高いという。ニューヨークなどの大都市にある高級店では日本から輸入されたふぐを提供しているが、これらのふぐは、日本で毒を持つ内臓などを取り除き、急速冷凍されて輸出されているものだ。
3. フカヒレ(サメのひれ)

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食べることは禁止されていないが、法律で販売などが禁止されている食材の一つ。フカヒレは近年、サメからひれだけを切り落として海に戻すという漁法が横行。海に戻されたサメは泳げずに死を迎えるため動物愛護の観点から広く問題視された。2000年以降、米国海域ではフカヒレ漁は禁止。現在、フカヒレの販売は12州で公式に禁止。フカヒレ漁の実態を知った市民の間では倫理的な疑問が持ち上がっている。
4. フォアグラ

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世界三大珍味として知られるフランス料理のフォアグラも、アメリカでは「食のタブー」だ。フォアグラは、アヒルやガチョウに餌を通常より多く与えることにより、肝臓を肥大させる。半ば強制的に餌を多く与えているとして、倫理的に問題視されている。アメリカ全土では禁止令は出ていないが、カリフォルニア州では禁止。フカヒレと同じく、動物虐待として物議を醸しているため、将来的にアメリカ全土で禁止令が出る可能性もある。
5. オオチョウザメのキャビア

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キャビアはチョウザメの卵巣をほぐして塩漬けにした高級食材で、世界三大珍味の一つ。なかでも、卵の粒が大ききなオオチョウザメのキャビアはアメリカではベルーガ・キャビアと呼ばれ珍重されている。そのためオオチョウザメが乱獲され、事態を重く見た米国魚類野生生物局によってベルーガ・キャビアとオオチョウザメ製品全般の輸入が禁止された。チョウザメ目の種はすべてがワシントン条約の規制対象となっている。
6. コンク貝

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コンク貝はバハマ名物。バハマでは主要な食材の一つだが、乱獲によって絶滅の危機にある。学術誌Reviews in Fisheries Science & Aquacultureに発表された論文によると、バハマのコンク貝はあと10年程度で消えてしまう可能性があるという。アメリカ水域では商業的および娯楽的な捕獲は一般に禁止だが、絶滅危惧種であるにもかかわらず、タークス・カイコス諸島ではいまだによく食べられている。
7. カース・マルツゥ

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イタリアのサルデーニャ島で作られる伝統的なチーズ。このチーズには生きたウジ虫が入っている。チーズバエという人の食料にたかるハエを使ってチーズの中に卵を産ませ、ふ化した幼虫がチーズを食べることで発酵が進み、柔らかくなるという。チーズはウジ虫がついたまま提供されるが、舌に載せただけでとろける柔らかさだという。欧州連合(EU)やアメリカでは健康上の理由から、このチーズは禁止されている。
8. 生乳

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搾乳したまま、加熱殺菌などを施していない牛の乳が生乳だ。日本でも食品衛生法で生乳のままの販売は禁止されているが、アメリカでも食品医薬品局は「危険な微生物が生息しており、深刻な健康被害をもたらす可能性がある」としている。そのため、伝統的な製法で作られたカマンベールやブリーチーズなど、一部のチーズも手に入りにくい。生乳を禁止しているのは20州。ただし、カリフォルニア州など13州では生乳販売を許可しているので、逆にアメリカでは手に入る食材ともいえる。
9. ハギス

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ハギスは茹でた羊の内臓のミンチにオート麦、たまねぎなどを混ぜ、牛脂と一緒に羊の胃袋に詰めて茹る、または蒸した詰め物料理だ。アメリカ農務省により羊の肺の販売が禁止され、アメリカでは味わえない料理となった。スクレイピーと呼ばれる、羊の狂犬病のような変性疾患を患った羊が使われる恐れを排除するためだ。スコットランドの伝統料理なので、スコットランド系アメリカ人はさぞかし残念がっていることだろう。
10. ズアオホオジロ

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ホオジロ科の小さな鳥で、大きさは親指ほど。ブランデー漬けにして丸焼きすればくちばしまで食べられるという。かつてフランスでは、王族や裕福な美食家だけが口にすることができた珍味だった。しかし、ズアオホオジロは絶滅の危機に瀕しており、EUでは保護種に指定されて販売が違法となり、それを受けてアメリカでもズアオホオジロの販売と輸入が禁止された。それでも乱獲が減らず、闇市場では売られているという。
11. アキーの実

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アキーは、ジャマイカでよく食されている南アフリカ原産のフルーツだ。熟していない果実にはヒポグリシンAという毒素が多く含まれており、アメリカでは生の果実の輸入は禁止されている。ヒポグリシンAはライチにも含まれる毒素で、未熟なアキーの実を食べると、ライチ病のような低血糖症状が起こる。しかし、安全が確認された缶詰や冷凍のアキーは輸入が許されている。日本でも缶詰なら手にすることができる食材だ。
12. 西洋スモモ

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日本名を西洋スモモというミラベルプラムは、サクランボより少し大きいフルーツ。現在は主にフランスのロレイン地方で生産されており、そこで育った西洋スモモが本来のミラベルプラムだ。そのまま食べたり、ジャムにされることが多く、抗酸化物質が豊富に含まれているので摂取することでの健康上の利点も大きい。ところが、ロレイン産のミラベルプラムは「原産地保護」食品と見なされ、フランスからアメリカへの輸入が規制されている。そのため、アメリカで「本物」のミラベルプラムを手に入れることは困難だ。
13. アラザン

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アラザンは銀色で粒状の製菓材料。すこし仁丹に似た見た目だが甘く、ケーキやクッキーのトッピングとして目にすることも多い。アメリカでも売られているのだが、食べてはいけないことになっている。問題とされるのは使用されている食用の銀。アメリカでは食品への添加物や着色料として銀は使用されておらず、公式には非食用となっている。ただし、通常トッピングに使われるような量であれば食べても体に害はないと考えられている。
14. ウミガメ

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海に面したエリアでは昔からウミガメは貴重なたんぱく質の一つとして食されてきたが、その数の現象から、国際自然保護連合は絶滅の危機があるとしてレッドリストに全種を掲載、ワシトン条約により提携国間の取引が禁止となった。アメリカでは、7種のウミガメの捕獲、殺傷、摂取が禁止。日本をはじめ捕獲などが違法とされていない国々でも年間捕獲量が厳しく決められており、世界的にウミガメの回復と保護について話し合われている。
15. キンダーサプライズ

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卵型のチョコの中にカプセル入りのおもちゃが入った子供用のお菓子。鶏卵サイズだけでなく、ホリデーには人の顔ほどもある大型エッグが販売される人気の商品だ。しかし、食品の中に食品以外のものを入れることを禁じているアメリカでは、食品医薬品局によって幼児によるおもちゃの誤飲を防ぐため販売が禁止されている。そのため、おみやげとして他国で購入して持ち込む人が後を絶たず、税関では毎年数万個を没収しているという。
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