日本は住みにくい?「外国人が暮らしやすい国」ランキング・トップ&ワースト10 居住者が評価

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 海外移住というと敷居が高いイメージがあるが、移住先の土地によっては案外、想像よりも簡単に馴染めるのかもしれない。移住にまつわる情報交換のためのオンライン・コミュニティ「インターネイションズ」は、外国人が住むのに最高の国ランキングを発表している。

 最新版となる2022年版では、181の国と地域に住む海外赴任者や海外採用者など、計1万1970人が調査に協力した。「生活の質(社会インフラなど)」「定住のしやすさ(住人の友好度など)」「海外での仕事(労働文化など)」「家計」「海外生活の必須事項(デジタル環境や言語障壁など)」のカテゴリから、計最大56の項目を7段階で評価している。

 50 人以上の回答を得られた国・地域を対象とし、今回は52の国・地域が該当した。その結果、ベスト10とワースト10は、それぞれ次のような顔ぶれとなった。ランキング中に日本の名前も挙がっているようだ。まずベスト10から見ていこう。

◆ベスト10位:シンガポール

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 必要な施設がコンパクトにまとまった都市国家のシンガポールは、「生活の質」カテゴリのうち「旅行と交通」で世界1位を獲得した。「環境と気候」でも17位に入っており、日々の暮らしやすさが好評のようだ。

◆ベスト9位:オーストラリア

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 9位には、なまりがあるが英語が通じ、生活水準も高いオーストラリアがランクインした。現地は雇用機会に恵まれており、「海外での仕事」カテゴリ全体で世界2位になっている。リラックスした労働文化も好評で、柔軟に働けると答えた回答者は78%に上っている。

◆ベスト8位:タイ

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 物価の安いタイは、どんな移住者も受け入れる広い間口を持っているようだ。「家計」カテゴリでは世界4位にランクインした。住む場所も難なく見つかるようで、「海外生活の必須事項」カテゴリのうち「住居」では世界1位となっている。

◆ベスト7位:ベトナム

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 ベトナムは「家計」カテゴリで世界1位に輝き、生活の維持の容易さが浮き彫りとなった。反面、「生活の質」カテゴリでは振るわず、ワースト4位を占めている。

◆ベスト6位:アラブ首長国連邦

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 インフラが充実したアラブだけあって、「海外生活の必須事項」は世界第2位の座を占めている。「生活の質」も上位にヨーロッパの国々が目立つなか、世界第5位と健闘している。「海外での仕事」カテゴリも第5位となっており、仕事志向の人には打ってつけだ。

◆ベスト5位:スペイン

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 太陽が降り注ぎ、欧州からのバカンスでも人気のスペインは、「生活の質」カテゴリで世界1位となった。カテゴリ内の「レジャーの充実度」でも1位を獲得している。5つのカテゴリのうち4つでトップ10入りを果たし、多方面で優れた移住先となっている。

◆ベスト4位:ポルトガル

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 ポルトガルは「定住のしやすさ」カテゴリで世界7位、うち「文化と歓迎」の項目では世界4位となった。同項目で3位のブラジルと同様、温かい国民性が移住者にとってありがたい存在となっているようだ。

◆ベスト3位:台湾

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 友好的な人々が多く住む台湾も、移住者が安心して暮らせる場所となっているようだ。現地の人々が一般的にフレンドリーである、と回答した人の割合は、世界平均が66%となっているのに対し、台湾については84%と高い割合をマークした。

◆ベスト2位:インドネシア

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 安価に暮らせる環境が好評だ。物価について好意的に受け止めている移住者の割合は、世界平均が45%と半数を切っているのに対し、インドネシアでは73%と高かった。一方で「生活の質」については、52の国と地域のうち41位と振るわなかったようだ。

◆ベスト1位:メキシコ

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 世界で最も移住しやすい国はメキシコとなった。「定住のしやすさ」カテゴリで世界1位、「家計」カテゴリでも2位となり、調査主体のインターネイションズは「ずば抜けた結果」だとしている。「安全性」こそ41位に沈んだが、「海外での仕事」で世界17位となるなど、総じて暮らしや仕事を行いやすい環境となっているようだ。

 続いてワースト10を見てみよう。

◆ワースト10位:マルタ

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 地中海に浮かぶマルタは美しい島国として名高い。「定住のしやすさ」では21位とまずまずの順位につけたものの、「海外での仕事」は難ありの36位となった。「海外生活の必須事項」も43位と振るわなかった。

◆ワースト9位:イタリア

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 イタリアは多くのカテゴリで中程度のスコアを獲得したが、「海外での仕事」で47位となり、この地で外国人として職に就くことの難しさを強調している。調査に対しアメリカからの移住者は「雇用状況は最悪で、賃金は非常に低い」と回答している。

◆ワースト8位:トルコ

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 トルコもイタリアと同じ傾向にあり、「海外での仕事」カテゴリでスコアを大きく落とした。このカテゴリは世界ワースト1となっている。不景気と感じている回答者は世界平均17%に対し、トルコでは57%と高い。

◆ワースト7位:南アフリカ

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 「生活の質」「海外での仕事」「家計」の3つのカテゴリで低い成績となった。生活環境もあまり安全とは言えず、気軽に外出することもままならない厳しい現状を写し出している。

◆ワースト6位:日本

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 日本は「生活の質」が比較的高く、世界17位となっている。だが、「定住のしやすさ」で下位に沈み、同カテゴリ内の「文化と歓迎」「住人の友好度」「友人の作りやすさ」のいずれの項目でも40位台ないしはそれ近くとなった。デジタル化の遅れも深刻で、ドイツに次ぐ世界ワースト2位となっている。

◆ワースト5位:ルクセンブルク

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 ドイツ・フランス・ベルギーに囲まれた小国のルクセンブルクは、国全体の交通機関が無料となっており、交通の安さの項目では世界首位となった。だが、日本同様に「定住のしやすさ」で評価を落としたほか、「家計」では世界ワースト2位となった。

◆ワースト4位:キプロス

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 キプロスは「海外での仕事」カテゴリで世界ワースト4位となっている。ナイジェリアからの回答者は「ここ(キプロス)で仕事を見つけるのは難しいように思います」と述べている。

◆ワースト3位:香港

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 複雑な事情により、政治的安定性で世界ワースト1位となった。5つの主要カテゴリのすべてで下位半分の順位となっており、特に物価高が影響してか「家計」では世界ワースト9位に着いている。

◆ワースト2位:ニュージーランド

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 同様に物価高のニュージーランドは、「家計」カテゴリで世界ワースト1となった。美しい大自然の広がる島国だが、海外出身者にとって移住は厳しいようだ。

◆ワースト1位:クウェート

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 ペルシャ湾に面した中東のクウェートは、湾岸諸国に多く見られる先進的な超高層ビルが立ち並ぶ。しかし、移り住む先としては必ずしも適していないようだ。政府主導の規制が徹底しており、フランス出身の回答者は「ここには個人の自由がない」と嘆いている。

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