「わかったふり」で読み飛ばしてない?超難読漢字クイズ20選

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日本語に欠かせない漢字だが、簡単には読めない漢字も多い。読めない漢字は、つい「わかったふり」で読み飛ばしてはいないだろうか。私たちの身近にある難読漢字を20個紹介するので、いくつ読めるか試してみてほしい。
◆第1問:寸々
つい「すんすん」と読みたくなるが、正解は「ずたずた」。「ずたずた」とは、細かく切れ切れになるさまを表した言葉だ。漢字の「寸」には「わずか」や「少し」といった意味があり、2つ重ねて使うことで、ずたずたになった様子を表現している。布やきれに対して使われることが多いが、人の気持ちも表現できる擬態語である。「ズタズタ」とカタカナで表現するよりも、「寸寸」と記したほうが、気持ちも伝わりやすくなりそうだ。
◆第2問:独楽
お正月遊びに欠かせない独楽。普段は「コマ」とカタカナ表記しがちだが、漢字にすると「独楽」となる。古い時代に朝鮮半島にあった「高麗(こま)」という土地を通って、日本へと運び込まれたことから「コマ」という呼び名が定着。ここに中国語の表記であった「獨楽」という漢字を組み合わせて、「独楽」になったと言われている。「独」りでも「楽」しめるおもちゃだからこそ、ぴったりな漢字だろう。
◆第3問:糺す
「糺す」という言葉は、「正す」と同じ語源を持つ言葉だ。正しいかどうかを明らかにしたり、真実を追求したりすることを指す。「質問する」という意味で使われる「質す」よりも強いニュアンスを持ち、「尋問する」「取り調べる」といった意味でも使われる。推理小説や時代小説などでは見かける機会もあるので、ぜひ頭に入れておいてほしい。
◆第4問:木菟
ふくろう科に属する鳥のうち、頭頂に「羽角」があるものをみみずくと言う。「木菟」の「菟」は「うさぎ」を意味する漢字。「木」の上で暮らす鳥の中で、耳が長い「菟」のように見えるために「木菟」というわけだ。ちなみに「羽角」とは、まるで耳のように見える飾り羽のこと。この羽がない種類が、普通の「ふくろう」である。ちなみにこちらは、漢字で「梟」と書く。
◆第5問:梃子
てこの原理でおなじみの「てこ」。棒の途中の支点を中心にして、小さい力を大きな力に変える仕組みのことを言う。「はさみ」や「プルタブ」、「ホッチキス」にも使われており、身の回りの道具に応用されている。「てこ」を使った表現も豊富で、「梃子入れ(てこいれ)」や「梃子摺る(てこずる)」などが挙げられる。「梃子」とセットで覚えておくと良いだろう。
◆第6問:項
「うなじ」とは、首の後ろ部分のこと。「襟首」や「首筋」とも言われている。「うな」という言葉は、もともと「首」を意味するもの。「うなずく」や「うなだれる」など、首を使う動作に多く見られるのもこのためだ。一方「じ」は「尻」を意味する言葉で、「後ろ」を表現している。漢字で「項」と書くのは、つくりである「頁」が頭、へんである「工」が「まっすぐ貫く」を意味している。首をイメージしやすいだろう。
◆第7問:小童
「小さい童」と書いて、「こわっぱ」と読む。耳にする機会も減っているが、幼い子どもをからかって表現する言葉だ。時代劇などで、「この小童どもめが!」なんて言い回しを耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。ちなみに「小童」と書いて「こわらわ」と読むときはそのまま「子ども」を、「しょうどう」と読むときは「幼い男の子」を意味するのだそう。文脈から読み取ってみてほしい。
◆第8問:煎餅
大人から子どもまで、幅広い世代でおやつとして愛されている「煎餅」。その起源は諸説あるとされ、「千利休の弟子が考案した」「だんごをつぶして焼いたのが始まり」などと言われている。煎餅の主な原材料は米。その保存食である「餅を煎って作るお菓子」と考えると、イメージも湧きやすい。日本で広まったのは明治時代からだが、中国では紀元前から食べられていたそう。
◆第9問:秋蚕
「秋蚕」とは、7月下旬から晩秋までに飼う蚕(かいこ)のこと。「しゅうさん」や「あきこ」と呼ばれるケースもある。養蚕業に親しんでいないと「秋蚕」を見る機会もないが、俳句の正解では秋の季語としてよく使われている。ちなみに、春に育つ蚕は「春蚕(はるご)」、夏に育つ蚕は「夏蚕(なつご)」である。富岡製糸場の初代場長の尾高惇忠が秋の養蚕を奨励したことにより、広まったと言われている。
◆第10問:田螺
「螺(にし・つぶ)」はもともと、海産の巻貝の一種。これに「田んぼ」をつけて「田螺」とすることで、田んぼで生活する淡水産巻貝を表している。稲作が盛んな日本ではおなじみの生物だ。もともとは田んぼの主と書いて「田主(たぬし)」と読んでいたが、徐々に「田螺(たにし)」へと変化したとも言われている。毎年春になると水底に現れるため、春の季語としても親しまれている。
◆第11問:金糸雀
カナリアは鳴き声と見た目が美しいことで知られる愛玩鳥だ。「金糸雀」という漢字は、その見た目の特徴から当てはめられている。「まるで金色の糸をまとった雀のような鳥」だから、「金糸雀」と書いて「カナリア」。もともとは中国語の表記がそのまま日本に伝えられたもので、中国語では「ジンスーチェ」と発音する。見た目との齟齬がないため、当て字としてそのまま採用されたそう。
◆第12問:小芥子
「こけし」は東北地方に伝わる、伝統的なおもちゃだ。漢字で「小芥子」と書く理由には諸説あるが、こけしの丸い頭が「芥子の実」に似ているからだとも言われている。小さくてかわいらしい様子を「小」という漢字で表現して、「小芥子」になったと考えられている。また木を削って作られることから、「木削子」と表記することもあるようだ。
◆第13問:駱駝
暑さに強い「らくだ」は、漢字にすると「駱駝」。どちらもあまり見かけない漢字だが、中国名に由来していると言われている。駱駝の「駱」は「家畜に荷物を負わせる」という意味。「駝」は「馬ではないもの」を意味している。「砂漠の船」とも呼ばれるらくだにぴったりの由来だ。ちなみに「羊駱駝」は「ひつじらくだ」ではなく、「アルパカ」と読む。
◆第14問:肌理
「肌」の「理(ことわり)」と書いて「きめ」と読む。女性にとってはおなじみの言葉。「初めて漢字を見た!」という人も多いのかもしれない。「肌」を「き」と読むことはできても、「理」を「め」と読むのには無理がある。実はこちらは当て字であり、漢字が持つ意味を優先させた結果、「肌理」と言う表記になったと言われている。「風合い」「肌目」「肌ざわり」などが、類義語として挙げられる。
◆第15問:心太
難読漢字としても定番の「心太」は「ところてん」と読む。ところてんを作る際には、煮溶かした天草が使われている。冷めて固まる性質を「凝海藻(こるもは、こるも)」と表現したが、時代とともに徐々に変化。「凝る」は「心」となり、太い海藻を表現する「太」の字を組み合わせて「心太」になった。ちなみに昔は、漢字そのまま「こころふと」や「こころたい」と呼ばれていたそう。時代による言葉の変化が実感できる。
◆第16問:犇犇
「ひしひし」という言葉は、「強く身に迫るさま」「切実に感じている様子」といった意味を持つ。「犇」という漢字を見かける機会は少ないが、音読みでは「ホン」、訓読みでは「ひしめく」「はしる」と読む。たくさんの牛が集まり、ひしめいている様子を表しているそう。「ひしひし」には「犇」が2回繰り返して使われており、「強く身に迫る」という意味も実感できるのではないだろうか。
◆第17問:蔑ろ
「軽蔑」の「蔑」の字に送り仮名の「ろ」がつくと、読み方は「ないがしろ」になる。ちなみに送り仮名が「む」になると、読み方は「さげすむ」。「ないがしろ」の意味は「あってもないもののように軽んじること」で、「さげすむ」の意味は「見下す」だ。「蔑」の漢字には「人をばかにする」「無視する」といった意味がある。派生した言葉をセットで覚えると、語彙力もアップするだろう。
◆第18問:双六
お正月の遊びとして定番の「すごろく」。完全に当て字のため、知らなければ読めない漢字と言えるだろう。すごろくを「双六」と漢字表記する理由は、遊ぶために欠かせないアイテムにある。双六で勝負の行方を決定づけるのは、サイコロ。「2つ(双)」の「六」がそろったときに有利なゲームだからこそ、この漢字が使われているそう。すごろくで遊ぶときには、ぜひこちらの豆知識を披露してみてはいかがだろうか。
◆第19問:刃傷
思わず「とうしょう」と読みたくなるが、実はこちらは間違いだ。「刃傷」と書いて「にんじょう」と読む。ニュースで見かける機会も多い「刃傷沙汰」は「にんじょうざた」が正解だ。よく似た言葉に「刀傷」があるが、こちらはシンプルに「とうしょう」もしくは「かたなきず」と読む。「刃傷」が「刃物で人を傷つけること」を意味するのに対して、「刀傷」は「刀でついた傷」そのものを意味している。混同しないよう注意しよう。
◆第20問:依存心
「依存」は「いぞん」と読むが、「依存心」は「いぞんしん」とは読まない。正解は「そ」に濁点がつかない「いそんしん」だ。もともとは「依存」も「いそん」が正しい読み方だが、多くの人が「いぞん」と読んでいることから読み方が変化。「依存症」についても同様に、「いぞんしょう」と読まれるケースが増えてきている。「いそんしん」の読み方の変化にも、今後注目していきたい。
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