「再訪したい国」ランキング、日本が1位 旅行者を虜にしているのは?

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 円安の影響を受け、世界から日本を訪れたい人が増えている。英旅行保険会社のインシュア&ゴーが発表した「再訪したい世界の国」ランキングで、日本が1位を獲得した。単に安価に旅行できるだけでなく、食や文化など充実の体験が後押ししているようだ。

◆桜、おいしい料理…尽きない日本の魅力
 ランキングは日本が1位となり、2位以下にはイタリア、スペイン、メキシコの順で続く。調査はネット掲示板「レディット」の一部を構成する「r/Travel」サブレディットにおいて、7500件以上のコメントを分析した。結果、324回言及されていた日本が首位となった。

 日本についてインシュア&ゴーは、「日本は桜、おいしい料理、そしてユニークな文化や歴史でも有名な国」だと述べ、「ゆえに、また訪れたいと思う場所の第1位にランクインしたのも不思議ではない」との見解を示している。再訪したい理由としては、見たり体験したりできるものが多岐にわたること、そしてそのどれもが高品質である点で特に好まれている、と同社は分析している。

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 2位のイタリアについては、地中海の美しい光景や、歴史的な建造物、ルネッサンス期の傑作である美術品などが旅行者を引き寄せている。3位のスペインについて同社は、スパニッシュ・コスタスと呼ばれる数々のビーチやおいしい小皿料理のタパスが魅力になっていると分析する。

レディットのあるユーザーは、「ここで残りの人生を過ごせたら最高だ」と言及している。石造りの通りをぶらり歩き、ワインで喉を潤し、シエスタを取れるライフスタイルに入れ込んでいるようだ。

◆再訪で見つかる、自分だけの日本の良さ
 日本も負けていない。「r/Travel」サブレディットでは、日本が恋しいという書き込みが多く見られる。あるユーザーは「日本に夢中……」と題し、もう5回も訪れているのにやめられそうにない、と綴った。このユーザーはまた、「ある国への依存症というのは存在するのでしょうか? 頭の中にあるのは日本のことだけ」と続けている。別のユーザーは冗談を交えて、「日本文化依存症というのは聞いたことがある」と応じた。

 さらに別のコメントは、日本は2回以上訪れてこそ、一層の価値があると持論を述べている。「日本への2回目の旅行で一番良い点は、混雑した観光地を飛ばせること。4回目の旅行ともなれば、本当に楽しい場所を探検できる。日本は素敵だ」とこのユーザーは述べる。東京から京都・大阪へ抜ける、いわゆるゴールデン・ルートを外れてこそ、日本の真の美に巡り会えるとの考えがあるようだ。あるユーザーは次に予定している日本旅行で、いにしえの参道である熊野古道のハイキングや、琵琶湖周辺でのサイクリングにチャレンジする予定だという。

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 「r/Travel」の別のスレッドでは、広島県の尾道を訪れたというユーザーが写真を投稿している。坂の町から見下ろす海や島々が美しく、しまなみ海道のサイクリングも楽しんだようだ。この投稿に対し、以前尾道を訪れたという別のユーザーたちからは、「日本で一番好きな場所!」との声や、尾道ラーメンを勧める声などが聞かれる。

さらに別のスレッドでは、屋久島への訪問体験を振り返る投稿も見られた。東京や大阪など大都市に限らず、地方の美にも海外の目が行くようになってきているようだ。

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◆過去のランキングでも旅行先1位に選出
 日本は昨年10月、米旅行誌のコンデナスト・トラベラーが発表した「最高の国ランキング」においても、1位に選出されている。このランキングは「リーダーズ・チョイス・アワード」として、読者52万人による投票で決まったものだ。美しいエーゲ海を望むギリシャを3位に、古代ローマの遺跡を擁するイタリアを2位に抑えての快挙となった。

 英ツアー会社の「フラッシュパック」による調査でも、日本は「2024年に一人旅したい国」ランキングで1位に選ばれている。にぎやかな東京や大阪に対し、寺院での静寂な時間を味わう京都など、ギャップが見所の一つだと同社は分析している。「たった一度の旅行で、何世紀も未来に早送りされたような気分になると同時に、過去にもさかのぼれる」とのコメントだ。

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 英タイムアウト誌が選ぶ「2024年のベスト都市50」では、1位ニューヨークなどに続き、日本の東京が8位に選出された。清潔な都市空間に加え、続々と新店舗がオープンし、訪れるたび新たな発見があることが長所だという。銀座のミシュラン1つ星レストラン「グッチ オステリア」など名だたる名店が進出するほか、2月に移転オープンした麻布の「チームラボボーダレス」など、見所は尽きない。

◆忘れられないラーメンの味に、「日本が恋しい!」
 日本で体験できる文化のうち、具体的にどのようなポイントが再訪したいと感じさせているのだろうか。食文化ではやはり、帰国後にラーメンが頭をよぎるようだ。厨房に立つ店主はまるで匠のようだと威厳に驚き、湯気立ち上る器に繊細に盛り付けられたスープと麵を味わう。そんな体験が忘れられず、「日本が恋しいよ」とこぼす書き込みがレディットには見られる。

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 意外なところでは、どこの街にもあるコンビニも強く印象に残るようだ。小さな空間にあらゆるジャンルの食べ物が詰まっており、思い思いの商品を手に取って日本らしさを体感する。あるユーザーは日本のセブン-イレブンと比較し、アメリカの店舗は陳腐に見えてしまうと嘆く。

ファミリーマートの「ファミチキ」など充実のホットスナックや、3ステップで開封する独特なおにぎりが忘れられないとのコメントも寄せられている。

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 ほか、静かでマナーの良い公共空間や、ほぼ定刻どおりに走っている電車など、暮らし全般の質の高さを称える意見も散見される。「もう一度訪れたい世界の国」ランキングで日本が首位となった背景には、単に円安で訪れやすいだけでなく、忘れられないそれぞれの思い出があるようだ。

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