いくつ読める? 難読漢字20 「玉蜀黍」「柳葉魚」「飛蝗」……

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よく使う言葉のなかには、漢字にすると途端に難しくなるものが潜んでいる。植物や動物など身近なものでも、戸惑うほどの難読漢字があるようだ。以下の20の言葉のうち、いくつの読みをあてられるだろうか?

◆第1問:玉蜀黍

とうもろこしは16世紀、ポルトガル人によって日本に持ち込まれた。モロコシ(唐黍/蜀黍)という植物に似ていたことから、唐(舶来品)のモロコシという意味で名付けられた。しかし「唐唐黍」では漢字が重複してしまうため、代わりに整然と並ぶ実の美しさを「玉」で表現し、「玉蜀黍」の字が当てられるようになったようだ。

◆第2問:百日紅

「ひゃくじつこう」でも正解。百日紅の字は、長く咲き誇ることから。漢字はほかに「猿滑」などいくつかの表記がある。ピンクや紫などに咲き乱れるさるすべりは、江戸時代までに中国南部から伝来した。なめらかな幹は木登りが得意なサルでも落ちてしまうことから名付けられたが、実際にはたやすく登ることができるようだ。

◆第3問:土竜

「どりゅう」「むぐらもち」などでも正解。土を盛り上げるという意味の「穿ぐろもつ」の前半が時代とともに転化し、「もぐら」になったといわれる。漢字はトンネルを掘って隆起した跡がまるで竜のようにみえることから当てられた。なお、中国語で「土竜」といえばミミズのことだ。

◆第4問:海豚

中国語でも「海豚」の漢字が使われており、これがそのまま日本に輸入されたようだ。形が豚に似ていることから、海に住む豚という意味で漢字が当てられた。「いるか」の読みは日本語独自のもので、魚を示す「イヲ」と食用の動物を意味する「カ」に由来するなどの説がある。

◆第5問:柳葉魚

アイヌ語の「シュシュハム」が転化し「ししゃも」と呼ばれるようになった。シュシュハムは柳の葉を意味しており、漢字もこれに忠実に当てられたようだ。アイヌにはカムイが人々のために柳の葉を魚に代えて与えたなど、柳と魚にまつわる伝承がいくつか存在する。

◆第6問:河豚

ふぐという名の由来には諸説あり、怒ると「膨らむ」ためという説や、水を腹に溜めて「吹く」ことからといった説がある。河にいて豚のような外見をしているため、中国で河豚の字が使われるようになった。海豚(いるか)と混同しないように注意しよう。

◆第7問:蝸牛

「かぎゅう」「でんでんむし」でも正解。「蝸」は渦を巻いた殻を、「牛」は二本の突き出たツノ(触角)を表している。ちなみに、姿が似ていて殻のないなめくじも難読漢字だ。漢名に由来して「蛞蝓」と表記される。

◆第8問:飛蝗

身近なばったにも、かなり難しい字が使われている。「ひこう」でも正解。この場合は成長したトノサマバッタの仲間や、それが群れとなって飛行する様子を指す。なお、「蝗」の字だけだと「いなご」となる。ばったと似ているが、水田など湿地を好む別のいきものだ。

◆第9問:欠伸

「あくびをすること」を意味する古語の動詞「欠ぶ(あくぶ)」が名詞化したもの。「欠」の字には口を開ける動作を意味しており、これに背伸び意味する「伸」を加えて「欠伸」となった。

◆第10問:自棄

物事がうまく運ばず、投げやりになる様子を表す。読みは「じき」でも正解で、この場合も意味は同じだ。「自暴自棄」などの形でよく使われる。やけになるの「やけ」は、「焼ける」と同じ語源だ。

◆第11問:賽子

さいころは奈良時代に中国から渡来したといわれる。中国語でさいころを意味する「簺(さい)」に似た「賽」の字が日本では使われ、後に転がすという意味の接尾語「ころ」が加わった。さいころには方向があり、1と6の面がそれぞれ天地を、5と2が東西を、4と3が南北を表す。

◆第12問:束子

ワラやシュロなどの繊維を束ねて作られていたことから、「束」の字が使われるようになった。ほか、手持ちのワラという意味の「てわら」が変化したとの説もある。20世紀初頭に「亀の子束子」が発売された際、商品名として考えられた当て字がそのまま定着した。

◆第13問:団栗

「団栗」は当て字で、もちろん栗の一種というわけではない。どんぐりは特定の植物ではなく、ブナ科の樹木の実を総称したものだ。江戸時代からこの呼び方は使われていたようだ。子供が回して遊んだことから回転を意味する「ツム」と、石を意味する「クリ」に由来するとの説などがある。

◆第14問:無花果

「いちじゅく」とも。漢名の「むかか」も正解。漢字だけみると花が咲かないようだが、目立たないところにむしろ多数の花を抱えている。実のようにみえる部分は花嚢(かのう)と呼ばれ、その中身を満たしている一見果肉のような部分が無数の花だ。

◆第15問:陽炎

「かぎろい」「ようえん」も正解。アスファルトなどが熱せられ、空気がゆらゆらと立ち上る現象が陽炎だ。温かい空気とそうでない空気が混じり、屈折率のちがいで向こう側がゆらめいてみえる。

◆第16問:霹靂

「かみとき」「かむとけ」でも正解。雷の閃光や雷鳴、そして落雷などを意味する。「青天の霹靂」の慣用句でお馴染みだ。こちらの慣用句として使う場合、晴れた空に突如轟く雷のような、突然の事件やそれによる衝撃を表す。

◆第17問:逆上せる

ふだんよく使うが、漢字は知らなかったという人も多いのではないだろうか。暑さや湯あたりで頭がぼうっとしたり、我を忘れて感情をほとばしらせたりする様子を意味する。

◆第18問:強か

粘り強く自分を貫いたり、しっかりしていて勇敢であったりする様子を指す。「強かな当主」や「強かな戦略」など、人物にも物にも使うことができる。同じ読みと意味で「健か」と書いてもよい。

◆第19問:奇しくも

「き」と読むことの多い「奇」の字だが、ここでは「く」と読むのが正解だ。偶然にも、あるいは不思議にも、といった意味をもつ。誤用して「悔しいことに」という文脈で使われることがあるが、「奇しくも」に残念がるニュアンスはないので気をつけよう。

◆第20問:漸く

大変な苦労や長期間を経て、長く待ち望んでいたことがやっと実現する様子を指す。あるいは、物事がだんだんと進行していく際にも使うことができる。「暫く(しばらく)」と混同しやすいが、そちらは「少しのあいだ」という意味の別の言葉なので注意したい。

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