「彎月」「丁斑魚」…読めるものはいくつある?難読漢字20問に挑戦!

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普段は何気なく使っている漢字だが、ときに思わぬ難読漢字に出会うだろう。正解を知るとその漢字に納得するものもある。身近な難読漢字20問を紹介するので、いくつ読めるかトライしてほしい。

◆第1問:雪花菜


一見すると冬の花のようなイメージを抱く字の並びだが、正解は「おから」。豆腐の製造工程で原料の大豆をしぼったときに出る残りかすで、ご存知の通り、和食の食材として有効活用されている。

どうして「雪花菜」なのかと思うかもしれないが、おからの白くてふんわりした見た目を連想すれば納得できるのではないだろうか。

◆第2問:西瓜

日本から見て西に位置する中国から伝わったため「西の瓜」と書く、という説もあるが、実際は10世紀頃に中国より西(ウイグル以西)から伝わったためという説が正しいと言われている。

日本に伝わったのは室町時代だと言われており、以来、日本の夏の風物詩として愛され続けていることは周知の事実だ。

◆第3問:独活


春の山菜として愛好家が多い独活。「独」「活」と独立心が強そうな字が並んでいる。由来が「独りでも活く(動く)」だからあながち間違った印象ではない。

独活は真夏に大きく成長し、2メートルもの大木になる。木から広がる葉も大きく、風がないのにみずから動くように見えるさまが「独活」の漢字につながった。

◆第4問:醴

正解は「あまざけ」。日本で言うところの甘酒である。「醴」は中国・周の時代に神をまつるために作られた酒の一種「醴斉(こざけ)」から取られた名称だ。

味わいが甘く、現代の甘酒のルーツになる酒である。日本では日本書紀に「醴酒(れいしゅ)」の名称で酒の描写があり、こちらも甘酒のようなものだと考えられている。

◆第5問:熟鮓


一見すると「熟した酢」に見えるが、よく見ると「酢」ではなく「鮓(すし)」である。魚を塩と米飯とともに熟成させた伝統的な発酵食品で、独特の酸味が感じられる。

驚くことに日本では稲作が伝わった弥生時代から食べられているという説がある。熟した鮓のように、その歴史も長いようだ。

◆第6問:背腸

文字通り背にある腸を指す。背腸を持つ生き物としてはエビが有名だ。甲殻に覆われた背にそって長く位置しており、調理の下ごしらえで捨てられることが多い。

また、背腸は鮭の血ワタを指すこともある。こちらは塩辛になり、珍味として重宝される。同じ読み方でもエビと鮭では扱いが異なるようだ。

◆第7問:目近魚

正解は「めじな」。体長約30~50cmの魚の名前である。目と口の位置が近いためにつけられた名前だと言われている。

もともとは「めじかな」と呼ばれていたという説も。磯の香りが強いため、一般にはあまり流通していないが、磯釣り愛好家にとってはおなじみの人気魚である。食べるなら磯の香りが弱まる冬がおすすめだ。

◆第8問:青豌豆

さやに入った緑の豆のことで、成熟する前はグリーンピースとして市場に出回る。日本には遣唐使が伝えた。

かつて原産国のフェルガナが中国で「大宛国」と記されていたのだが、豆の生産国のため「豆」をつけるようになり、「豌」の字が生まれたという。なお、「豌」の字は豌豆にしか使われない。

◆第9問:儲える

一見すると「もうける」と読みそうだが、正解は「たくわえる」である。緊急時に備えて金銭を余分に稼ぎ、たくわえる人のことを指す漢字として生まれたという説がある。

また、皇太子などを意味する「皇儲」「帝儲」に使われる漢字でもある。後継ぎに備えておくという意味があり、「備える」という点で共通しているようだ。

◆第10問:強肴

懐石料理の献立のひとつである。一汁三菜が基本の懐石料理だが、それとは別に供される揚げ物や和え物、煮物、酢の物などを指している。

由来は席の亭主が「強いてすすめるもう一品」であり、酒の肴として供されるものだ。薄味の懐石料理では酒が進みにくい飲んべえにとっては嬉しいサービスだろう。

◆第11問:和蘭芹

「旱芹菜」「旱芹」と書くこともある。好みが分かれがちだが、紀元前から食用され、いまでは世界でもっとも食べられている香草である。

カリウムやビタミン類が豊富で、古代ローマでは薬草としても重宝されていた。日本には18世紀頃にオランダから伝わった。現在は長野県が一大生産地として有名だ。

◆第12問:檬果

つい「れもん」と読みたくなりそうだが、「まんごー」が正解。フルーツのマンゴーである。中国では「芒果」と書き、発音は英語の「mango」に近い。

日本ではそれを参考にしつつ、果実に使い、かつ響きの近い「檬(もん)」を充てたという説と、ペリカンマンゴーとレモンの形が似ているから充てたという説がある。

◆第13問:蕪

日本の食卓ではおなじみの根菜だ。くさかんむりに「無」を組み合わせた漢字だが、由来は蕪の葉が地面を覆い尽くす光景にあるそうだ。

食料としての歴史は古く、かつては諸葛孔明が軍の食料確保のために栽培し、それを聞いた日本の持統天皇も同じく栽培を推奨したという。いまでは日本各地にご当地蕪がある。

◆第14問:巴里

花の都と言えば正解が分かる人も多いかもしれない。読み方は「ぱり」、フランスの首都である。漢字と地名に密接な関係はなく、発音に基づいた当て字である。

国や都市名のカタカナ表記が一般的ではなかった時代は当て字が基本だった。昭和初期からはカタカナ表記が広がるようになり、現在の漢字表記はそれ以前の名残である。

◆第15問:蕃茄

字の並びから思わず「なす?」と読んでも仕方ない。蕃茄は中国の表記で、西から伝わった野菜の見た目が茄子に似ているためこのように表記されるようになった。

かつての中国では自国から以西の民族を蛮族とみなし、「蕃」は蛮族の意味を示す。つまり蕃茄は「西の蛮族から伝わった茄子に似た野菜」の意味である。

◆第16問:冥い

まったく光がなく、真っ暗な様子を表すときに使われる漢字である。「冥土」「冥界」などと表記するように、死者の世界という意味もある。

また、道理にくわしくない、明るくない、かしこくないという意味で使われることもあり、どちらかと言えば視覚的な明暗よりも表現的な明暗をあらわす漢字である。

◆第17問:彎月

弓の形をした月を指す。弓張月、弦月と呼ばれることもある。月の満ち欠けに関心を寄せる文化ならではの発想かもしれない。

そんなロマンティックな視点がある一方で、戦国時代にはいくさの陣立ての名称として使われていたことも事実である。隊列を弓の形に整えた陣形を指す。

◆第18問:海螺貝

貝の種類であると考えるかもしれないが、エゾバイ科の巻き貝の総称であり、単独で海螺貝とされるものはない。

丸くふくらんだ状態を指す古語の「つび」「つぶら」が「つぶ」に転じたことが名称の由来だと言われている。こりこりした食感で人気だが、唾液腺に弱い毒を持つため自宅で調理する際は注意が必要だ。

◆第19問:蟋蟀

正解は「こおろぎ」。右にある部首「悉」「率」は、中国で「シツ」「シュツ」と発音される形声文字で、虫の鳴き声や羽をこすり合わせる音を表している。

なお、こおろぎの鳴き声には縄張りを示す声や威嚇、プロポーズなど複数の種類がある。秋の夜長に聞こえる涼やかな合唱の裏には、彼らなりのドラマがあるのかもしれない。

◆第20問:丁斑魚

現在は品種改良が進み、500種類以上もいると言われている。「丁斑魚」の漢字の由来は明らかではないが、民俗学者の柳田國男によると「丁」が頭の大きさと体躯を、「斑」が背中の斑点を表しているのではないかとのことである。

言われてみれば「丁」がめだかに見えてくる気がするのではないだろうか。

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