購入するクルマを選ぶ際のポイントとして、価格やデザインなどさまざまな観点がある。燃費の良さや環境への影響も重要な視点だ。米NPOのエネルギー効率経済評議会（ACEEE）は、環境負荷が少ないクルマと最悪のクルマのリストを発表している。アメリカで販売される2024年型の量産車を対象に、生産から使用までのライフサイクルを通じた環境負荷を評価した。ベスト12に選ばれた車種は、ワースト12の車種と比べ、平均燃費が5分の1で済むという。ここではベストとワーストを10車種ずつ見てみよう。（「年間コスト」は2万4千キロ走行時のガソリン、電気、または双方を組み合わせた費用）

ベスト10位　キア EV6

パワートレイン：EV
グリーンスコア：63
希望小売価格：4万3975ドル
年間コスト：689ドル

　キアEV6は高い性能と広く快適なキャビンを特長とし、航続距離は310マイル（500キロ）を誇る。GT版は576馬力、ピークDC急速充電率は約225kWで、EVでの長距離移動をいっそう容易にする。

ベスト9位　トヨタ カムリ LE

パワートレイン：ガソリンハイブリッド
グリーンスコア：63
希望小売価格：2万8855ドル
年間コスト：907ドル

　トヨタのカムリLEは燃費が良く、インテリアは快適でコストパフォーマンスにも秀でる。エンジン音には改善の余地があるが、優秀なハイブリッドだ。

ベスト8位　ヒュンダイ コナ エレクトリック

パワートレイン：EV
グリーンスコア：63
希望小売価格：3万4050ドル
年間コスト：695ドル

　ヒュンダイコナエレクトリックは環境に優しいクルマであり、比較的手ごろな価格もうれしい。充実の標準装備と高い安全性でも好評を得ている。

ベスト7位　ヒュンダイ エラントラ ブルー

パワートレイン：ガソリンハイブリッド
グリーンスコア：64
希望小売価格：2万6250ドル
年間コスト：864ドル

　ヒュンダイ エラントラは、スタイリッシュな外観が目を引く。ハイブリッドモデルは燃費が優秀であり、コンパクトなボディは都市部での駐車も容易だ。

ベスト6位　トヨタ RAV4 プライム

パワートレイン：PHEV
グリーンスコア：64
希望小売価格：4万3690ドル
年間コスト：741ドル

　トヨタRAV4プライムは、燃費とパワーで高評価を得ている。EPA推定値では、電気だけで42マイル（約67キロ）を走行する。加速も速く、快適性、インテリアの質や技術面でも高い評価を得ている。

ベスト5位　トヨタ bZ4X

パワートレイン：EV
グリーンスコア：66
希望小売価格：4万3070ドル
年間コスト：689ドル

　トヨタのbZ4Xは、多くのライバルがひしめくミッドサイズSUV市場に送り出された。デザインはシンプルだが機能的であり、内装も高級感があると評判だ。運転席は快適で、コントロールは直感的に操作できる。

ベスト4位　日産 リーフ

パワートレイン：EV
グリーンスコア：66
希望小売価格：2万8140ドル
年間コスト：741ドル

　日産リーフは初期のEV市場を牽引（けんいん）したが、現在はエントリークラスのEVに位置づけられている。引き続き良好な燃費と環境負荷の少なさで高い評価を得ている。

ベスト3位　ミニ クーパー SE

パワートレイン：EV
グリーンスコア：67
希望小売価格：3万900ドル
年間コスト：747ドル

　ミニクーパーSEはデザイン性の高さと同時に環境にも優しいEVだ。小さなボディに54.2kWhバッテリーを搭載し、402キロの航続距離を実現した。エクステリアではLEDを採用した円形ヘッドライトを特徴とし、新しい八角形グリルがフロントの印象に変化を与える。

ベスト2位　レクサス RZ 300e

パワートレイン：EV
グリーンスコア：67
希望小売価格：5万5150ドル
年間コスト：651ドル

　レクサスRZ300eは環境に優しい選択肢として注目されている。FWDモデルとして登場し、従来のRZ450eよりも4700ドル安いほか、航続距離も伸びた。標準装備の18インチホイールでは、EPA評価による航続距離は266マイル（約428キロ）だ。

ベスト1位　トヨタ プリウス プライム SE

パワートレイン：PHEV
グリーンスコア：71
希望小売価格：3万2975ドル
年間コスト：529ドル

　トヨタ プリウス プライムは2023年型からスポーティーなデザインを採用し、評価の分かれていたエクステリアの課題を一掃した。2024型ではさらに環境性能が高まり、出力は220馬力を発揮する。EV航続距離は44マイル（約71キロ）。

ワースト10位　GMC シエラ

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：29
希望小売価格：3万7700ドル
年間コスト：3069ドル

　GMCシエラ1500デナリアルティメットは、高級感と快適性を追求しているが、環境への負荷は大きい。オプションで3.0リットルディーゼルエンジンも提供されている。

ワースト9位　GMC ハマー EV SUV

パワートレイン：EV
グリーンスコア：29
希望小売価格：9万8845ドル
年間コスト：1746ドル

　GMCハマーEV SUVは、強力な馬力とオフロード性能で注目されている。ブレーキオーバーアングルは49度、デパーチャーアングルは34.4度となっていることからも、オフロードへの注力がうかがえる。EVとしては唯一、ワースト10車種に選ばれた。

ワースト8位　メルセデスベンツ G550

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：28
希望小売価格：14万3000ドル
年間コスト：3186ドル

　メルセデスベンツG550は豪華な装備とオフロード性能を備えるが、環境への影響は大きい。416馬力V8ツインターボエンジンと9速オートマチックトランスミッションを搭載しており、ゴージャスなSUVを追求する層から支持を得ている。

ワースト7位　ジープ グランドワゴニア 4×4

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：28
希望小売価格：9万1945ドル
年間コスト：3058ドル

　ジープ・グランドワゴニアは燃費に優れず、結果として環境への影響が大きい。高出力のエンジンだけに燃料消費が悪く、運転の取り回しの良さも優れているとはいえない。

ワースト6位　ジープ ラングラー 4ドア 4X4

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：27
希望小売価格：3万5895ドル
年間コスト：3260ドル

　ジープ ラングラーは、オフロード性能を重視したクルマだ。非常に優れた耐久性と、強力な駆動システムを備える。屋根やドアが取り外しできる珍しい造りでもある。

ワースト5位　ダッジ デュランゴ SRT

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：26
希望小売価格：7万4995ドル
年間コスト：3332ドル

　ダッジ・デュランゴSRTのボディは際立って大きいわけではないが、燃費の悪さから環境に悪影響を及ぼすクルマの一つだ。大排気量のHemi V-8エンジンを搭載し、多くの二酸化炭素（CO2）を排出する。

ワースト4位　キャデラック エスカレード V

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：26
希望小売価格：15万2295ドル
年間コスト：3388ドル

　キャデラック エスカレードVは環境負荷が高い大型SUVの一つで、約6000ポンド（約2700キロ）の車体を700馬力のパワーで駆動する。大型SUVの平均的なガソリン代は月間240ドルほどだが、本車種は300ドル以上を消費する。

ワースト3位　フォード F150 ラプター R

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：24
希望小売価格：7万9975ドル
年間コスト：3777ドル

　フォードF150ラプターRは、720馬力の5.2リットルV8スーパーチャージャーを搭載する。吸気ロスの低減などでパワーアップを果たしたが、環境面への配慮は後手に回っている。

ワースト2位　ラム 1500 TRX 4×4

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：22
希望小売価格：9万8335ドル
年間コスト：3819ドル

　2024年のラム1500 TRXは、非常に強力なスーパーチャージャーつき6.2リットルV-8エンジンを搭載する。オフロード能力は高いが燃費は極めて悪く、環境への影響は無視できない。

ワースト1位　メルセデスベンツ AMG G63

パワートレイン：ガソリン
グリーンスコア：20
希望小売価格：18万4000ドル
年間コスト：4242ドル

　メルセデスベンツ AMG G63が環境に最も悪影響を与えるクルマに選ばれた。グリーンスコアは評価対象車種で最悪の20となった。高級車であり乗り心地は約束されているが、環境面への配慮は進んでいない。

＞次は　冷蔵庫に入れなくていい食品20　美味しくなくなったり傷んだりも